こんにちは。橋本絢子です。
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今日は「機能不全家族で育つ子供の役割5パターン」というテーマでお伝えをします。
自分に生きている価値がないと思ってしまう原因の多くに、アダルトチルドレンであること、機能不全家族に育ったことが挙げられます。
アダルトチルドレンとは、もともとはアルコール依存症の家族がいる子供という意味ですが、そこから派生し、子供の頃に家庭内でのトラウマに傷ついたまま大人になった人を意味します。
機能不全家族とは、その名の通り、家族として機能していない家族のことを言います。
「そのままでは自分では存在してはいけない」「自分には生きている価値がない」と思ってしまう機能不全家族で育ったアダルトチルドレンには5つの役割があります。
まずはその役割をご紹介していきます。
ヒーロー
機能不全家族で育った子供の役割のうち、1つ目がヒーローです。勉強やスポーツでパーフェクトな結果を出すことが求められます。子供がパーフェクトなヒーローであることで親の自尊心が保たれ、家族が平和でいられます。
逆に言うと、子供がヒーローでなければ、家族が平和でいられない問題が潜んでいます。ですので子供は、家族の期待に応えるために常に優秀なヒーローである必要があります。
幼い頃からヒーローの役割を演じ続けてきた子供は完璧主義で、大人になっても常に1番を目指します。しかし社会に出れば上には上がいます。上を見てもキリがありません。完璧主義であるが故に常に自分を追い込み、理想通りの自分でいられない場合は消えたくなります。
スケープゴート(生贄)
スケープゴートは生贄のような役割で、家族皆のストレス発散先にもなります。
イライラした人が怒りをぶつけやすいターゲットがスケープゴートになるので、勉強ができなかったり不良だったりと、いわゆる「出来損ない」と言われる人になりがちです。
会社の中でも、いつも怒られている人がいるかもしれません。いつもやたらと怒られる人は、その組織の中でスケープゴートになっている可能性があります。
いつも怒られている人がいることで他の社員が団結したり、他の人が怒られなくて済むといったメリットが組織にもあります。
逆に、そのスケープコードのいつも怒られていく人がいなくなることで会社の業績が悪くなったりするので、実はスケープコードは、会社には必要な人である場合が多いのです。
家族の中にも皆のストレスをぶつけられるスケープゴートがいることで、家族が成り立つ場合があります。
ロストチャイルド
ロストチャイルドは、「忘れ去られた子供」を意味します。夫婦仲が悪かったり、義両親が同居している家庭で家族がお互いの悪口を子供に言っている場合、子供はその悪口を聞かなかったことにしなければなりません。
そのため、自分の存在をだんだんと消そうとします。
「自分はいない方が家族がうまくいく」と思ってロストチャイルドの役割を演じていた場合、大人になっても「その場にいない方がいい人」と自分で思いがちです。組織の中でなるべく存在感を消そうとする人は、ロストチャイルドの役割で育った可能性が高いです。
ピエロ(マスコット)
その名の通り、おどけ役です。家族の仲が悪くなりそうになると、場を和ませるために面白いことを言ったり可愛いらしく振る舞って愛されるキャラです。
そのような人は、一見、楽しく生きているように見えますが、実際は感情を抑圧していることが多いです。
大人になってからも、シリアスな場面で、「その場を和ませないと」と思っています。そうすることで愛されてきたので、ずっとピエロの役割を演じ続けなければなりません。
ケアテイカー
ケアテイカーは、お世話役です。最近では「ヤングケアラー」という言葉も取り沙汰されていますが、たとえばご両親のどちらかが働けなくなり、お父さんかお母さんの代わりをしないといけない場合があります。
また、外で働く親の代わりに、幼い弟や妹の面倒を見る子供もケアテイカーに該当します。
ケアテイカーの役割を引き受けてきた子供は、大人になってからも「誰かのお世話をしていないと自分には価値がない」と思っているので、大人になってからも自ら率先してお世話役を引き受けることが多いです。
以上が機能不全家族で育つ子供の役割5パターンになります。
子供の頃から演じ続けてきた役割を大人になってからも演じなければならないと思うことで、その役割が、自分の夢や希望を叶えることを阻む壁になってしまうことも少なくありません。
「ダメな自分に価値がある」と思っているスケープゴートの事例
私の知っている人で、ギャンブルに依存している人がいました。その人の親御さんに会ってみて分かったのは、ダメな自分でいることで親御さんから可愛がられていたのです。
「お前はダメだな、可愛いな、ダメな息子だけど愛しているよ」といったメッセージを、彼は常に親御さんから受け取っていたのです。
私自身はどちらかというとヒーローの役割を求められていたので、ダメでも可愛がられるという状況に驚きました。
ギャンブル依存は脳の病気でもありますが、「ダメでいることで大切な人から愛される」という思考癖を手放せない限り、依存症脱出のための行動も取ろうとは思えないのでしょう。
ギャンブルに限らず、何かしらの依存症の人は、上記の機能不全家族5パターンのいずれかの役割に該当する場合が多いです。
夫婦間での問題をごまかすために子供が役割を演じる
機能不全家族で育つ子供が上記の役割を背負う理由は、子供が家族の問題を映し出しているからです。家族内や夫婦間で起こっている本当の原因を、子供がごまかしている可能性が高いです。
自身の冷めきった夫婦関係と向き合いたくない母親が、教育熱心なママになり、子供に全力を注いでヒーローに仕立てる。夫婦喧嘩の多い両親の子供が、夫婦仲を取り持つために病気になる。両親によってネグレクト状態にされている幼い子供を、他の子供がヤングケアラーとしてお世話する。などの事例があります。
機能不全家族の役割を背負った子供は、大人になってもその役割を背負っていないと自分には存在価値がないと思ってしまいがちです。
たとえば学校の成績優秀なヒーローで生きてきた人は、社会人になってからも優秀でないと自尊心を保つことができません。常に成功者でなければアイデンティティが崩壊してしまう人もいます。
これは実際に私が聞いた話ですが、学校の成績が優秀で、会社でも営業成績優秀で生きてきた人がいました。しかし景気が悪くなった時期に、どうしても営業成績の目標が達成できなくなる時期があったのです。
その人はどうしたかというと、なんと不正を働いて虚偽の報告をしました。結果、その人は会社を解雇されてしまいました。
ずっと優秀で生きてきたその人にとって、「営業成績が未達成」である事実は失敗の烙印を押されたことになり、アイデンティティが崩壊してしまうほどの受け入れられない現実です。そのため、不正を働いてでも目標を達成することに固執したのでしょう。
役割から解放されて生きづらさを手放すには
機能不全家族の子供が背負う役割から解放されて生きづらさを手放すにはどうすれば良いのか?
まずは生きづらさの原因を作った親との関係に向き合うと良いと思います。
人によっては親と話し合ったり、手紙を書いたりといったことが合う場合もありますし、過干渉・支配の凄まじい親の場合は、距離を置くことも必要になる場合があります。
何を選択するかは人それぞれ合う方法がありますが、大切なのは、無理をしないこと。自分が苦しくならない方法で、親との関係を俯瞰的に見つめてみます。
自分の生きづらさは、親自身の問題を映し出す鏡でもあるので、まず親自身の心の問題は何であったのかを問うてみること。その上で、親と自分を切り離して考えてみます。
自分と親は別の個体として生きている別の生命体ですので、本来、親から求められた役割を生きる必要はありませんし、親の期待通りに生きられなくとも、悩む必要はないのです。「親の理想通りに生きないと」と悩む動物は、人間以外にいません。
そのことに気づくために、今までの役割を手放す経験をするかもしれません。
ずっとヒーローで生きてきたのであれば、そのヒーローを手放しても生きていける経験が、人生で必要になるかもしれません。
人のお世話ばかりをしてきたケアテイカーの人は、逆にお世話をされる立場になるかもしれません。
そして、自己犠牲で人のお世話しなくても良いことに気づくでしょう。
自分がずっとしがみついてきた役割は何かを知り、その役割を手放してみる。
そういった経験も、生きづらさからの解放につながるという知識を、頭の片隅に置いていただければと思います。