こんにちは、橋本絢子です。
昨日は東京都美術館で開催された、ゴッホとゴーギャン展を見に行きました。
私は西洋美術を鑑賞するのが好きです。
特にゴーギャンは一番好きな画家です。
偶然にもゴーギャンは私と誕生日が同じです。
大都会パリから田舎の南仏アルルに移住し、さらに原始的な自然を求めて、南国タヒチやパナマ、マルティニーク島、マルキーズ諸島などを旅する生き方に、強い共感を覚えます。
旅をしながら自分の世界を表現する生活を送りたい
と思うようになったのは
高校時代に読んだ、ゴーギャンをモデルにした小説「月と六ペンス」の影響も大きいと思います。
月と六ペンス (光文社古典新訳文庫) 月と六ペンス (光文社古典新訳文庫)
サマセットモーム
光文社だとKindle版でも読めます。Kindle派の私にはありがたいです^^
というわけで、ほぼゴーギャン目的で行った「ゴッホとゴーギャン展」ですが、ゴッホとゴーギャンの二人が出会い、南仏アルルで共同生活を送ることによって、二人がお互いに影響され合い、お互いの表現が変化していく様子が印象的でした。
最初、暗い色調で重々しかったゴッホの絵が
↑これは33歳の自画像だそうです。
年を追うごとに、自分の世界観が築き上げられ、研ぎ澄まされていく。
その変遷を目の当たりにすることができました。
心の闇が深ければ深いほど、洗練された光を放てる可能性が拡大していくのかもしれません。
限られた枠の中に表現される、ゴッホの全世界は、人間が持つ無限の可能性を感じさせてくれるものでした。
しかしゴッホは、ゴーギャンとの共同生活で、次第に精神を病んでいき、自らの耳の一部を切り取って入院してしまいます。
ゴーギャンとの芸術観の相違があったとも言われています。
精神病院から退院してから2ヶ月後、麦畑で拳銃自殺をはかり、2日後に死亡します。
決して幸福だったとは言いがたいゴッホの生涯ですが、彼の描いた絵は彼の死後、世間に評価されます。
ゴーギャンが本格的に絵を描き始めたのは36歳。
それまでは株式トレーダーだったんですね。
1882年、パリの株式市場が大暴落し、収入が激減したことをきっかけに絵を描き始めるようになります。
奥さんと息子さんがいましたが、生活は奥さんが支えていたようです。
奥さんの働いたお金で、絵を描いて旅をして、旅先のパナマで破産もして、帰国途中のマルティニークのサン・ピエール港で船を降り、そこでしばらく生活したりと、自由奔放すぎて今の日本だと怒られそうな生活ですね^^;
苦労しながらも画家生活を支えてくれた奥さんですが、ゴーギャンは、叔父イシドアから1万3000フランの遺産を相続したものの、当初、奥さんに一銭も渡そうとしなかったそうです。最終的には1500フランを分与したものの、奥さんとは友人を通じてしか連絡を取ろうとしなかったとのこと。
奥さんと別れた後はタヒチへ渡り、マルキーズ諸島へ移動し、ヒバ・オア島へ行き、53歳のときに14歳の妻と結婚、翌年には娘が生まれます。
まだ少女だった新しい妻は、子育てをしながらゴーギャンの介護もしないといけなかったそうで、大変だったとのこと。
しかしゴーギャンは、2度目の結婚から2年後、病気で死亡します。
周りの意見を気にせず、自分の魂からの欲求に忠実に生きた結果、数々の美しい作品が生まれたのでしょう。
ゴーギャンの絵の実物を見ると、赤が美しいです。
情熱を感じさせる赤色は、本や画集などの印刷物では表現しきれない鮮やかな色合いです。
人間の原始的な生活への憧れが、情熱の赤色に表現されているのかもしれません。
ゴッホとゴーギャンの共同生活は松山の愚陀仏庵で共同生活をした、正岡子規と夏目漱石によく似ているなと思います。
正岡子規と夏目漱石が52日間ともに暮らした松山の愚陀仏庵。
正岡子規と夏目漱石が共同生活をしていた時期も、ゴッホとゴーギャンが共同生活をしていたのと、同じぐらいの時期で、共同生活をしていた期間も2ヶ月程度と同じくらいです。
共同生活後の二人の運命も、ゴッホとゴーギャンに通ずるものを感じます。
フランスと日本、地球を半周するほどの距離があるにも関わらず、同じ時期に一流の芸術家同士が、お互いの表現を高め合うために共同生活を送っていたことに、運命的なものを感じずにはいられません。
私が芸術文化を研究するのが好きなのは、芸術表現を通じて人間の生き様を奥深くまで知ることができるからです。
ゴッホもゴーギャンも、世間の常識から見ると非常識きわまりない生き方をしてきており、当時は国からも非難される存在だったと思います。
しかし批判や非難の嵐を受けても、自分の魂の欲求に忠実に生きた結果、後世に語り継がれる数多くの作品を残しているのです。
そう考えると勇気が湧いてきますよね。
やりたいことがあるけど周囲の目を気にして一歩踏み出せない方は、ゴッホの名言に勇気づけられてください。
「自分の中で一度燃え上がった想いというのは、止めることが出来ない」
「たとえ僕の人生が負け戦であっても、僕は最後まで戦いたいんだ」
「自分の中に炎を持ち、魂を抱えているのに、どうして、閉じ込めておくことが出来ようか」
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